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2020TOKYO 五輪 聖火ランナーの大役を終えて

    

           

                  

                  大網白里市国際交流協会       

                  会 長 田村 隆文

                               

はじめに、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない状況ですが、121日間をかけて全国47都道府県359市区町村を繋いだ「希望の聖火」を国立競技場の聖火台に灯して欲しいと聖火を繋いだ一人の人間として切に願っています。千葉県では新型コロナ感染防止のために公道を走ることが出来ませんでしたが、聖火ランナーとしてトーチキス(聖火ランナーが次の聖火ランナーに聖火を受け渡す)のセレモニーに参加する(大役を果たす)ことが出来たことに感謝の気持ちでいっぱいです。                               

令和元年10月、聖火ランナーとして本市の推薦を受け、12月に千葉県オリンピック・パラリンピック推進局より東京2020「千葉県推薦聖火ランナー」として選定されましたと連絡をいただきました。1225日(水)のクリスマスの日に東京2020組織委員会の聖火ランナーデスクより、「東京オリンピック聖火ランナー」に選ばれましたと連絡があり、私の生涯において忘れる事の出来ないクリスマスプレゼントになりました。                                         

前回の東京オリンピック(1964年)は、大学2年の19歳の時で聖火が国立競技場の聖火台に点火される光景を近くの電気屋さんの白黒テレビで大勢の人々と目にしましたが、大会に合わせて高速道路や鉄道網の整備により、東京の街並みもすっかり変わり、ギリシャから南回りで国産初の旅客機YS11型機により空輸されて日本に到着して国内を聖火ランナーによって繋がれた聖火は、日本の戦後復興の象徴のように感じたのを今でも鮮明に覚えております。                         

前回の東京オリンピックから57年を経過して私も高齢となりましたが、東京2020聖火ランナーとして大任を背負って走る以上は、日常の生活行動と体力の維持にも気を配らなければならないと思いました。幸いにもアリーナのジムで週3-4回筋トレと有酸素運動のエクササイズを約8年間続けてきていましたが、ランニングの練習も併せて少しずつ始めました。                                    

 然しながら、突然、令和2年の2月頃から新型コロナ感染が急速に拡大し、3月には、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を「パンデミック」と宣言し、感染拡大防止のための新しい生活スタイルの徹底を勧告したことから私達の日常生活も一変してしまいました。一方で、聖火は3月下旬にギリシャでの採火式を無事に終えて特別機で日本に空輸されましたが、東京2020オリンピック・パラリンピックも1年延期となり、また、4月からは緊急事態宣言の発令により新しい生活が始まりました。              

  令和3年3月になって千葉県オリンピック・パラリンピック推進局より、聖火リレーは3月25日(木)に福島県をスタートして千葉県では7月1日(木)から3日(土)の3日間実施することとなり、私は7月1日(木)19時過ぎ頃に蓮沼海浜公園付近を走ることとなったと通知がありました。また、走行2週間前の6月17日(木)からコロナ感染防止のために「体調管理チェックシート」による毎日の体温測定や健康状態を報告することとなり、また、当日の走行区域についても発表されて、いよいよ現実味が帯びてきました。                                     

  5月27日(木)に、千葉県オリンピック・パラリンピック推進局より新型コロナウイルス感染防止のために公道での走行は中止してセレモニー会場でのトーチキス等のセレモニーのみに変更となったと通知を受けて少し驚きましたが、感染防止のためであり、公道を走らない聖火ランナーとしてオリンピックの歴史にも無かった最初で最後の経験となる大役を果たせる事ができると思いました。                                               

 そして、遂に7月1日(木)の当日を迎えました。聖火ランナーのユニホームに着替えて緊張しながら待機しました。時間が来てこの地域を走る予定だった聖火ランナー全員がセレモニー会場に集まり、ランナーのトーチキスによって繋がれた聖火は希望の炎として輝いておりました。                    

 121日間の日程で全国を繋いだ聖火は、コロナ禍の「全世界の人々に夢と希望を与える聖火」として国立競技場の聖火台に灯してほしいと、そして、私は地域社会を支える一員として持続可能な多様性のある多文化共生社会の発展を目指すことを祈念しました。                                   

 聖火ランナーとして決定して以来、未だかって経験したことのないコロナ禍で翻弄された1年半の準備期間を終えて、無事に聖火ランナーとしての大役を果たせたことに感謝の気持ちと同時に1日も早い新型コロナウイルス感染症の収束を願っております。